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ギロック : こどものためのアルバム 森の伝説

Gillock, William : Album for chirdren A woodland legend

作品概要

楽曲ID:45153
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分30秒
著作権:保護期間中

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎5 応用1 応用2 応用3

楽譜情報:3件

解説 (2)

演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (676 文字)

更新日:2025年4月2日
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幻想的な雰囲気を持つこの作品は、タイトルが示すように「森にまつわる伝説的な物語」を想起させます。音楽の流れの中に、静寂と動きが交錯し、神秘的な森の情景が描かれます。左手の柔らかな響きと右手の流れるような旋律が調和し、まるで歴史を見守ってきた森が穏やかに語りかけるような印象を与えます。和声は比較的シンプルですが、効果的な半音階進行や対位法的な要素が取り入れられ、豊かな表現力が求められる作品です。冒頭には「slowly, with much freedom」と記されており、大きく深い呼吸とともにフレーズを作ることが大切です。自由なテンポ感を持ちながら、音楽の流れを大きく捉えることで、物語性のある演奏へとつながります。流れを大切にしつつも、一音一音を味わうように弾いてください。
ペダルの使用は慎重に行いたいところです。指だけでレガートをつなげることを意識し、ペダルなしでも滑らかに弾けるよう練習するとよいでしょう。ペダルは水分を与えるように潤いを与えるために用い、楽譜に記載されている指示にとらわれず、細かい踏み替えや浅めのペダルを試しながら、響きの変化を探ってみてください。特に、響きを濁らせないよう注意しながら、幻想的な音の広がりを作り出すことを意識するとよいでしょう。
この作品の特徴の一つに、バスの音が長く保たれる点があります。響きを十分に感じながら、柔らかくよく伸びる音を目指し、バスだけを取り出して練習するのも効果的です。低音の響きをしっかりと支えながら、その上に繊細な旋律を乗せることで、森の静けさと広がりがより明確に表現できるでしょう。

執筆者: 杉浦 菜々子

演奏のヒント : 大井 和郎 (949 文字)

更新日:2018年3月12日
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10.森の伝説

たった1ページの曲ですが、1分半弱位はかけて演奏したいゆっくりで自由な曲です。この曲を演奏するにあたって大切な事は、音楽が縦割りにならないように注意し、聴いている人に拍を感じさせず、さながら弦楽四重奏のように横に流れていかなければならない事です。そのためには、奏者はルバートを十分用いて、テンポが常に固定されないように注意してください。表示記号にもありますが、Slowly, with much freedomは、「とても自由にゆっくりと」という意味です。

加えて、和音の一番上の音を出す事も重要課題です。メロディラインは常に一番上にあると考えて間違いありません。  また、各フレーズ毎に微妙な和声の変化があります。それらの変化はムードの変化につながりますので、各フレーズ同じように弾かないよう注意します。例えば、1-4小節目はまで1つのフレーズです。5-8小節目は次のフレーズで、一見同じように見えますが、7-8小節目は、左手が半音階で下行しています。また、右手のメロディも異なります。これがタイトルのように、「伝説」を語っているのであれば、1つ目のフレーズ(1-4小節)よりも2つ目のフレーズ(5-8小節)のほうが、より繊細に、少しだけ感情面を見せているように感じます。

この曲を2つに分けるとするのであれば、1-16小節目までと17-最後までに分ける事ができますね。その時前半の1-16小節間で、ピークに達する部分は11-12小節です。9小節目からは緊張感を保って12小節目に達してください。後は、徐々に気持ちが穏やかになるように演奏します。

23-24小節目は、内声に、いままで出てこなかった主題が右手に登場します。各音符にテヌートが付いています。特に遅くという事ではありませんが、これら7つの音を十分に歌うように演奏し、ピークポイントである25小節目に導かれてください。前半のピークよりも、後半のピークポイントは(25-26小節)より一層感情的になる部分です。表示記号のbroadlyとは、「大きく少しゆっくり」と解釈してください。

しかしながら、曲全体がそこまでフォルテを要求される性格の曲ではありませんので、極端なフォルテが出ないように、しかし平坦にならないように、注意します。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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