作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ワルツ
総演奏時間:1分30秒
著作権:保護期間中
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:基礎5 応用1 応用2 応用3
楽譜情報:3件解説 (2)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(639 文字)
更新日:2025年4月2日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (639 文字)
この曲は、気持ちを奮い立たせるような上行系のモチーフと、ため息をつくような下行系のモチーフが交互に現れる構成となっています。それぞれの音の間を大切にしながら、音程の変化をしっかりと感じて演奏することが求められます。例えば、アウフタクトの「ド」から1小節目1拍目の「ラ♭」への6度の跳躍は、単なる音の移動ではなく、上昇するエネルギーを十分に感じ取りながら表現しましょう。Lentoのゆったりとしたテンポの中で、音と音の間に込められたエネルギーの流れをじっくり味わい、丁寧に弾くことが大切です。
9小節目からはfで、バス音が低く鳴り、音楽はより深い悲しみを帯びていきます。深い呼吸を意識しながら演奏するとよいでしょう。
17小節目の中間部では、左手がメロディーを担います。チェロのような豊かで深みのある音を目指し、力強さとしなやかさを兼ね備えた響きを作ることが重要です。右手は四分音符の刻みが中心となりますが、テヌート・スタッカートがついた音と、21小節目以降の何もついていない四分音符とを区別することで、音楽に表情の変化をつけることができます。テヌート・スタッカートの音は少し重みを持たせ、着いていないものはやや軽めに弾くことで、旋律の流れが自然になり、バランスの取れた演奏につながります。
曲全体を通して、ワルツの優雅な流れを保ちつつ、悲しみやためらいを表現するように演奏することが大切です。一つ一つの音の意味を感じながら、内面的な感情がにじみ出るような響きを心がけるとよいでしょう。
演奏のヒント : 大井 和郎
(995 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (995 文字)
4.悲しいワルツ
この曲で考えなければならないことはテンポです。テンポ表示は Lent としてあり、その横に(slowly)と英語で書かれています。ゆっくりという意味です。しかしこの曲をどのくらいゆっくりにするのかは非常に微妙なところで、あまりゆっくりすぎたり、テンポを動かさないと、とても退屈で間が持ちません。ですからある程度の速度で進まなければならないのですが、そのような状況下で「ゆっくり、ゆったり」聴かせるには、かなり大げさなルバートが必要になります。
このワルツの興味深いところは、「ワルツ」と言っておきながら伴奏部分が、典型的なワルツの伴奏、つまり1拍目がベース、2-3拍目が伴奏というパターンが一つも見当たりません。必ずどこかの拍に休符があったり、1拍目がメロディラインであったりして3拍全部伴奏で埋まることが無いのです。要するにそれだけゆったりと時間を取ってくださいという意味と考えて良いでしょう。また別の言葉で言えば、コンスタントに前へ前へ進まないように、という意味でもあります。
1小節目から8小節目までを見てみましょう。1-6小節間、左手は2拍目までしかありません。3拍目の休符は左手を少し上に上げ、呼吸をゆっくりととります。7-8小節目はゆっくりとフェルマータにたどり着きます。
9小節目、フォルテ記号があります。かなりゆっくり、大げさに時間を取ります。それから徐々にin tempoにして、15小節目で再びritをかけ、ゆっくり16小節目にたどり着きます。
Bセクションは16小節目の3拍目から始まり、左手にメロディーラインがきます。注意することは途中に出てくる8分音符3つをひとまとめにして弾くこと。一つ一つ力を入れてはいけません。24小節目にスラッシュがありますね。ここは少し時間を取ってから次に進んでくださいと言う指示です。24小節目3拍目からは先ほどと同じメロディラインが来ますが、29-31小節間が異なった音になりますね。実は、29-30小節間は1つの和音で分析され、Fr65(フレンチシックスファイブ)という特殊な、増6度の和音です(Des F G H)。この和音は31小節目、f-mollのV(CEG)の和音で解決されます。故に31小節目は30小節目よりも大きくならないようにしてください。Fr65はとてもドラマティックな和音ですので、強調して良いと思います。
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