ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第16番 第1楽章 Op.31-1
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.16 1.Satz Allegro vivace
作品概要
解説 (1)
解説 : 岡田 安樹浩
(703 文字)
更新日:2019年2月16日
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解説 : 岡田 安樹浩 (703 文字)
第1楽章 ト長調 4分の2拍子 ソナタ形式
(提示部)
16分音符1つ分のアウフタクトをもつ、極めて特徴的な動機によって開始される主要主題(第1~11小節)は、このリズム動機と半音階的変化を含んだ16分音符の下降音型からなる。この主題は、すぐに長2度下のヘ長調で確保(第12小節~)され、下降音型の即興的展開を経て主調にてもう一度確保(第46小節~)される。
推移(第55~65小節)の後にあらわれる副次主題(第66~73小節)は、主調(ト長調)の長3度上にあたるロ長調である。平行短調のロ短調で確保(第74小節~)され、コーダ(第98小節~)はそのままロ短調で閉じられる。
(展開部+再現部)
展開部(第114[115]小節~)においては、まずリズム動機が幅広い音域に拡大されて繰り返された後、下降音型が即興的な展開によってパッセージ化される。主調の属和音をアルペジオで駆け巡ると、リズム動機が付点リズムの二音(属音)と4分音符で刻まれる属和音によって引き伸ばされ、音量を最弱音ppへと落としつつ再現部を準備する。
再現部は(第194小節~)最強奏ffによって決然と開始される。確保部分は省略され、すぐに推移となるが、副次主題を主調で回帰させるために必要な下属調を経由する措置は取らず、まずホ長調/ホ短調で副次主題を回帰(第218小節~)させる。そしてホ短調による(提示部における)確保部分の後半(第232小節~)を変化させることで、ようやく主調で副次主題があらわれる。
このソナタにおいてもコーダはやはり拡大され、主要主題の回帰、下降音型のパッセージ、属和音のアルペジオを経て、リズム動機の発展のうちに楽章を閉じる。
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