バッハ :フランス組曲 第5番 クーラント BWV 816

Bach, Johann Sebastian:Französische Suiten Nr.5 Courante

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:クーラント
総演奏時間:1分40秒
  • クリックして画像を開く
  • tab
39142 1

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1145文字)

更新日:2018年3月13日
[開く]

バッハの機嫌の良さが手に取るように分かるクーラントです。演奏のヒントとしてはダイレクション(方向性)が大変重要です。「方向性」」とは、どの音楽にも存在するものであり、フレーズが向かうポイントの事です。前半を使って説明してみましょう。

前半には3カ所の重要なポイントがあります。1つ目は1小節目1拍目表拍の和音です。2つ目は8小節目1拍目、3つ目は16小節目、前半最後の小節の3拍目です。これらがそれぞれ重要なポイント部分になります。これらのポイントに向かって、あるいはこれらのポイントから遠のいて行ったとき、それぞれのダイナミックを決めておくと良いです。

例えば、13小節目からは1小節単位でシークエンスが始まります。13-15小節間で、1拍目表拍のバスをそれぞれ見ますと、13小節目Fis、14小節目G、15小節目Aと、上行していることがわかります。故にテンションは16小節目に向かって13小節目から徐々にあげて行きます。本来であれば、16小節目はD-durの主和音であり、15小節目の属7の和音からの解決になる部分になりますから、16小節目のほうを15小節目より小さく弾くことでレゾルーション(解決)に至りますが、この場合、筆者は逆に考え、16小節目の方が15小節目よりもより一層テンションが高まると感じます。しかも、1拍目よりも3拍目の方がよりテンションが高くなると感じますので、前半は最後の右手の音であるDに向かってクレシェンドをかけます。

8小節目はどうでしょうか?皆さんは8小節目は弱いと感じますか、それとも強いと感じますか?これらのダイナミックやテンション、レゾルーションの解釈は本当に自由です。正しいとか間違っているという事はありません。また、この3つの部分はあくまで筆者の主観です。

最初に1小節目、1拍目の和音は最も強く、そこから徐々に5小節目1拍目までディミヌエンドをかけていき、5小節目1拍目から今度は、8小節目1拍目にかけてテンションを高めていきます。その後、9-10小節で1つ、11-12小節でもう1つのシークエンスが出てきます。この場合下行していますし、和声的に見ても11-12小節間の方が穏やかですので13小節目に向かってディミヌエンドをかけ、そこから16小節目までクレシェンドをかける、といった具合です。

後半も前半の例を参考にして、向かうべきポイントをしっかりと定めておきましょう。

もう1つ、このクーラントに不可欠なのは声部の独立です。そいってもほぼ2声で進行するわけですが、例えば、8小節目。22-24小節間、等、多声になりますね。そのようなとき、明らかに多声に聴かせることが出来るように、アーティキュレーションや音質を声部によって変えるなどの工夫をして下さい。

執筆者: 大井 和郎

楽譜 (8件以上)全件みる