2つのパスピエの、長めのトリルマーキングや、その後に続く32分音符等を考えると、そこまでテンポの速い曲ではないことが解ると思います。むしろこのトリルを強調すること(目立たせること)が、このパスピエ1の特色となります。
パスピエ1は、D-durやe-mollなどの近親調に転調するだけですのでh-mollから極端に離れる感じはしないのですが、パスピエ2は、同主調のH-durから始まり、gis-mollに転調します。この時点で我々の頭は完全にh-mollから離れてしまいます。
パスピエ2は、幻想の世界で、音質を柔らかく、音量も控えめに、非現実的なムードを出し、パスピエ1は、対照的に、トリルを強調してハッキリと、しかし軽やかに演奏します。両方のパスピエとも、特にピークポイントに向かって圧迫するような事はせず、淡々と音楽を進めてください。