F-durという調は、バッハの場合、楽しさの表現であることが多いです。14小節目以降、コレンテのように、速いテンポに変わったら、明るい音質で楽しく弾いて下さい。
このプレリュードは冒頭、フランス序曲を思い起こさせるリズムで始まります。音の高低から覧ると、5小節目に最も高いAが来て、そこから徐々に音は下行していきます。下行途中に借用和音もいくつか出てきます。どの辺りにテンションが高まるかを奏者の感覚で決めて下さい。
14小節目からはテンポが上がりますが、80~84小節間などのように、16分音符が左右連続する部分はテンションも高まる部分かもしれません。
最終的には奏者に、全体の強弱を委ねる形になりますが、注目すべきユニットがあります。18~20小節間の右手を覧ると、 EAE FAF EAE という、刺繍音(Neighbor tone)が出てきます。この3小節間を演奏するとき、真ん中の小節(半音高い音から始まる小節)を少し、両サイドの小節よりも音量を上げると効果的です。
この3小節間のユニットはいつでも真ん中の小節が高い音とは限らず、その逆パターンも出てきます(52~54小節間)CGC HGH CGC 。この場合は、真ん中の小節を両サイドの小節よりも弱く弾くと良いです。