このエチュードは2重唱と考えて下さって良いと思います。このエチュードは何カ所か、同じ事を繰り返す箇所があります。そのようなとき、その箇所を全く同じように弾かずに、変化を付けるようにします。この、全体を2重唱と考えること、そして、同じ箇所に変化を付けること がこのエチュードの演奏のヒントになります。
一応 A B A を書いておきます。
A 1~16小節間
B 17~40小節間
A 41~64小節間
最初のAセクション(1~16小節間)は、1~8小節間と9~16小節間の2つに分かれます。
1~8小節間では、1~2小節間で1つ、3~4小節間で1つ、5~8小節間で1つ、の全部で3つのセクションと考えます。この場合、1~2小節間よりも、3~4小節間のほうのテンションを高くし、5~8小節間の6小節目が最もテンションの高くなる箇所で、そこから徐々に衰退していくと考えます。
全く同じ事が次の、9~16小節間で起こります。ただし3つ目の音形が異なりますね。この辺りは1~8小節間と9~16小節間ではどちらの方が音量的に大きいか考えてみましょう。
いずれにせよ、今お話した事は右手を考えた場合ですが、左手のテノールの声部(ヘ音記号で棒が上を向いている音符)、も重要です。このテノールをどの程度出すか、いつ目立たせるか、等は、自由ですが、テノールのメロディーラインはこれはこれでしっかりと暗譜してください。意識をするだけでも音楽は変わってきます。
次にBセクションはAs-durで始まりますが、As-durはf-mollと比べ、暖かみのある調ですので、音量も控えます。良き思い出が頭に蘇ってくるようなセクションとお考え下さい。このBセクションですが、17~20小節間と21~24小節間では、書かれている音がほぼ同じですね。ここは変化を付けたいところです。どのような変化を付けるかは奏者次第で良いと思いますが、極端なフォルテ等は避けた方が良いかと思います。例えばですが、17~20小節間はpで、21~24小節間は、ソフトペダルを踏んでppでといううような変化でも良いと思います。とにかく、同じに弾かないようにします。
25~26小節間、27~28小節間はシークエンスですので、これも変化を付けます。33~34小節間、35~36小節間も同じです。
41小節目から再びAセクションになりますが、このセクションも同じ繰り返しが何カ所かあります。このセクションもやはり変化を付けて下さい。例えば47~48小節間、49~50小節間は全く同じです。例えば1回目は右手のトップのメロディーを出し、2回目は左手出す、等、何かを変えるようにしてください。