このエチュードは、同じ事が2回繰り返される事が多いエチュードですので、その「同じ2回」にどのように差を付けて進んでいくかというところがポイントになります。
例えば冒頭2小節、1小節目と2小節目は全ての音とリズムが1つの狂いもなく一致しています。この2小節間、どのように演奏したら良いでしょうか?何かしらの差を付けることが平坦になることを避ける手段になります。
12ー13小節間、14ー15小節間も全く同じですね。ちょっとここの4小節間を考えてみましょう。仮に、この4小節が終わった後である種のクライマックスが期待されるとしたら、12ー13小節間よりも14ー15小節間のほうの音量を上げ、方向性を付けることが可能になります。
これはしかしながら16ー20小節間をどのように捉えるかによって変わってきます。
これらの例のように、2回同じ事が起こる箇所は、それぞれの前後関係等も鑑み、変化を付けるようにします。これがまず1点。
もう一つは流れにあります。この曲は8分音符が全く切れることなく(最後の2小節間を除き)進んでいきます。8分音符が4/4拍子に8つ、伴奏部分に来て、切れ目なく続くパターンは、一つ間違えると大変に「堅さ」を生み、横に流れず、非音楽的な演奏になりかねません。
8分音符は、メトロノームに近い、正確なタイミングで弾くことにより、堅さを増します。8分音符はその存在さえ感じさせない位控えめに演奏し、曲全体にルバートをかけ、自由なタイミングで演奏することが重要になります。
この曲のその他の注意点としてはペダルがあります。多くの8分音符が切れ目無く続いていますので、大変に濁りやすい曲になっています。ペダルの使用は必要ですが、多すぎないように注意しましょう。