シューベルト :ピアノ・ソナタ 第11番 第1楽章 D 625 ヘ短調

Schubert, Franz:Sonate für Klavier Nr.11 Allegro f-moll

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:6分39秒
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解説 (1)

解説 : 髙松 佑介 (562文字)

更新日:2019年4月28日
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アレグロ、ヘ短調、4分の4拍子

シューベルトは、ピアノ・ソナタ嬰ヘ短調D 571の第1楽章において、冒頭楽章を抒情的な主題で始めることを試みており、本楽章も同様の構想を持って作曲されたと考えられる。

本楽章は、ソナタ形式を取る。第1主題領域は、導入部の役割を持つセクションが主題のユニゾンで提示された後、八分音符による分散和音の伴奏に支えられ、冒頭で提示されたヘ短調の主題が主旋律として抒情的に奏でられる(第15小節)。第22小節から平行調である変イ長調が片鱗を見せ、第30小節では第15小節で提示された主題が変イ長調で奏される。第38小節では、旋律を左手が引継ぎ、右手が三連符による新たな伴奏形を奏する。ホ長調を挟みつつ(第54小節)、第64小節や第68小節から変イ長調で新たな主題が提示されて提示部の幕となる。このように、調構造を見れば提示部は大きくヘ短調領域と変イ長調領域から成るが、変イ長調における新たな主題は提示部末になってはじめて登場する。

展開部は変ニ長調で始まり、第83小節から提示部の第2主題を用いて展開する。この主題を背景として、第90小節では冒頭主題が組み合わされる。ここには両主題を組み合わせて展開部を構築するというシューベルトの新たな試みが見て取れよう。そして、主調による再現部の冒頭で筆が置かれている。

執筆者: 髙松 佑介