第2楽章
この曲がハチャトリアンを弾く最初の曲であれば、奏者はまずハチャトリアンの音楽を理解することから始めてみると良いでしょう。ピアノ曲やオーケストラの曲、バレー、など様々なジャンルを聴いてみて下さい。ハチャトリアンの使う言語が伝わってくると思います。実はあまり知られていないピアノ曲も多くあります。「ポエム」などのピアノ曲も参考になると思います。ハチャトリアンの音楽は時に打楽器的になり、激しいエネルギーがありますが、時に民族的な旋律も多くあります。このソナチネ第2楽章は後者の部類に属します。
以下、注意点を箇条書きにします。
◉1小節目、短2度の和音からスタートするメロディーの「切なさ」を感じながら弾きます。 5-6小節間も同じです。フレーズは4小節単位ですので、4小節目は消えていくように演奏します。この曲は、縦割りで進むのではなく、横に流れて進みたい曲です。なめらかなメロディーラインを作って下さい。筆者は4小節単位のメロディーの中で、3小節目が最もテンションが上がるところだと思っています。
◉11小節目、15小節目、トリルは鮮やかに、トリルの速度を速くすると重たさを防げます。
◉17-18、19-20、21-22小節間、3つのシークエンスです。3つの雰囲気を異らせます。
◉27-32小節間、ダイナミックが一定のレベルにならないように注意します。
◉39小節目、右手の8分休符が次のEを大切に扱うサインになります。微妙に8分休符を長めに取っても構いません。少しだけ強調したい部分です。
◉58小節目からBセクションです。ここから2小節単位でメロディーが右手、左手と入れ替わります。2人の人が会話をしているような描写です。
◉74小節目、ショッキングなドミナントの和音です。少しだけsubitoフォルテでも構いません。
◉103-104小節間、ハチャトリアン独特のカデンツです。103小節目に登場するFisは下に伸びているA C E に打楽器的な効果を与えます。バランスを考えてみて下さい。PPで余韻のように弾いても構いませんし、FIsだけ少し大きめでも構わないと思います。