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ブルクミュラー(ブルグミュラー) : 18の性格的な練習曲 アジタート Op.109-8

Burgmüller, Johann Friedrich Franz : 18 Etudes de genre (faisant Suite aux Etudes faciles op. 100) Agitato Op.109-8

作品概要

楽曲ID:34161
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分20秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用3 応用4 応用5 応用6 応用7

楽譜情報:14件
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解説 (2)

解説 : 佐藤 卓史 (497 文字)

更新日:2022年1月31日
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 『アジタート』は発想標語で、「激して、興奮して、せきこんで」などと訳されていますが、ちょっと本来の意味とずれがあるように感じられます。そういえば「25の練習曲」の『気がかり』(不安)の発想標語が agitato でしたね。 そう、何か気がかりなことに追われて焦っているニュアンス が、agitato の中には含まれているのです。ホ短調という調性も2曲に共通しています。

演奏のポイント(原典 ♩=176) 

 技術的には、急速なアルペジオを左右で2音ずつ分けて弾く練習です。まず、すべての音を機械的に均等に弾く練習から始めましょう。左手の拍頭の音の前で待ちすぎないように。アクセントがついている音は、打鍵を速くしようとするあまりリズムが急いでしまいがちなので、気をつけましょう。2音に小さいスラーがかかっていることからわかるように、1指で弾く音は前の音よりも小さく軽く演奏します。その精密さを保ったまま、大きなクレッシェンドやディミヌエンドを波のようにかけていきます。最後はクレッシェンドしながらアッチェレランド(加速)。決然と終わります。

(東音版「ブルグミュラー18の練習曲」(NS61)より)

執筆者: 佐藤 卓史

演奏のヒント : 大井 和郎 (970 文字)

更新日:2020年11月30日
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アジタートと表記のある曲は、表拍が休符の場合が多くあり、それは落ち着きのなさや、激しさを表現する作曲家の書法です。この曲もその意味では典型です。

メロディーラインだけを耳にしてしまうとついついそこが表拍のような錯覚に陥ります。この曲で気をつけなければならないのは、余計な場所で時間を取らない事です。ただでさえ拍の認識がズレやすい曲なのですが、余計なところに時間を食ってしまうと更にカウントが失われます。

注意点その1 メロディーラインの認識

メロディーラインを把握して、その音をハッキリと出し、適切なラインのシェープが不可欠です。

右手16分音符のペアの、最初の音がメロディーラインですね。ところがそのように探していくと、途中でメロディーラインか否か解らなくなる箇所があります。例えば、9小節目。メロディーラインは、DGAH か、GAH かどちらでしょうか?このBセクションの部分を聴いて筆者は同作曲家の25の練習曲のコンソレーションを思い出しました。この曲のメロディーラインは、CDEEDCisDです。そのように考えると、9-10小節間のメロディーラインは、GAHHAGisAであり、DGAHHAGisAではないと考えられます。ですので、1拍目のDはカウントに入れないことにします。

そう考えると、1小節目、1拍目のHはメロディーラインとは考えず、2拍目のHからメロディーラインと考えますが如何でしょうか?

Aセクションのメロディーラインは8小節目で終わります。勿論1拍目がメロディーラインの最後の音で、2-4拍間は伴奏系に過ぎません。ショパンのop25-2で最初のセクションが終わり、左手がなくなって右だけペダルを踏んだまま衰退する部分(19小節目)に似ているとお考え下さい。

注意点その2 タイミング

この曲は全体を通してルバートはかけず、淡々と前に前に進む曲です。先ほど述べました、拍の認識の問題もありますので、余計なところに時間を食わないようにします。典型的な場所は8小節目の2-4拍間から、次の9小節目に移る瞬間です。9小節目最初の音である、左手のGは、高い位置から降りてこなければならず、そのために時間を食いがちです。必要とあらば、8小節目2-4拍間は右手だけで弾き、左手は9小節目のGをすぐ弾けるようにしておくのも1つの手です。ご参考まで。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(1件)

アジタート