ラヴェル :左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
Ravel, Maurice:Concerto pour la main gauche D-Dur
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (270文字)
第1次世界大戦で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインに委嘱されて書かれたこの協奏曲は、1930年に完成したラヴェル(1875~1837)晩年の傑作として高く評価されている。と同時に、ピアノソロは左手だけという珍しい制約やジャズの影響が色濃く反映されている点など、極めて個性的なピアノ協奏曲とも言えよう。
曲は切れ目なしに奏される単一楽章形式だが、大きく3つの部分に分けられる。ピアノパートは特殊な技巧を大幅に採り入れた大変な難曲で、とても片手で弾いているとは思えない素晴らしいアイディアに富んだ見事な書法によって書かれている。