ハイドン : ソナタ 第62番 第1楽章 Hob.XVI:52 op.82
Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.62 Mov.1 Allegro
作品概要
解説 (2)
解説 : 大井 和郎
(828 文字)
更新日:2025年5月30日
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解説 : 大井 和郎 (828 文字)
オーケストラの様にスケールを大きく弾いて欲しい第1楽章です。上品に、控え気味に弾く奏者もいれば、ダイナミックにフォルテを出す奏者もいますが、個々の考え方あって、どちらでも構わないと思います。この第1楽章を弾くヒントというか、御法度事項は、とにかく「重たく感じさせない演奏をすること」です。これに尽きます。
27小節目から始まる、付点ではありませんが、右手の16分音符と32分音符のリズムは、前打音の32分音符を、殆ど16分音符と同時に弾くことで軽い感じが出てきます。この2つの音符に2回力を入れずに、1回のモーションで弾くようにします。前打音のFには力を入れず、D C B F に力が入るようにします。
39小節目と111小節目の左手の32分音符は、昔のピアノフォルテであれば大丈夫だったのかも知れませんが、現代のピアノで、しかも残響のあるホールで弾くと、音がぼやけてしまいます。筆者の個人的な助言とはなりますが、この2箇所はペダルを入れない方が良いと思います。
その他、重たく聴こえる要因は、セクションによってテンポが変わってしまうことです。難しい、音符が多いセクションはテンポが落ち、音符の少ないセクションはテンポが速くなってしまうと、音符の多いセクションが重たく聞こえてしまいます。音符が細かくなればなるほどlegierro を目指してください。
低音も多くあり、スケールも大きいので、このような曲にペダルを入れすぎてしまうと、何が何だか判らなくなります。特に残響の多いホールであれば尚更です。ペダルは極力控えるようにすると良いです。この第1楽章に必要なペダルは、3度の動きをスムーズにして、切れ目を作らないとか、ポリフォニー的な、横のラインを助けるために使用するとお考えください。
解説 : 齊藤 紀子
(262 文字)
更新日:2020年2月9日
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解説 : 齊藤 紀子 (262 文字)
第1楽章はアレグロの4分の4拍子で変ホ長調。fの主和音の密集配置で開始する。ディナーミクが楽章全体を通して目まぐるしく変化することが特徴的である。第27小節からは、高音域に第2主題が現れ、展開部(44小節~)ではまずこの主題が展開される。第2主題は左右のスタッカートが特徴的で、スラーの付された第1主題と対照を成す。また、展開部の開始2小節は、この楽章の冒頭から引き出されているが、フェルマータが付されている。このようなフェルマータの扱いは、ハイドンの弟子のベートーヴェンのピアノ・ソナタに引き継がれていると言えるであろう。
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