ハイドン : ソナタ 第60番 第1楽章 Hob.XVI:50 op.79
Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.60 Mov.1 Allegro
作品概要
解説 (2)
解説 : 大井 和郎
(943 文字)
更新日:2025年5月30日
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解説 : 大井 和郎 (943 文字)
多くのハイドンのソナタは楽天的な曲が多いのですが、このソナタの第1楽章ほど、ハイドンのユーモアのセンスが、全面に出ている曲も珍しいと感じます。このソナタの冒頭数小節を演奏する、コリオグラフィーを観ると、一目瞭然で、まるで猫が左右の手を交互に動かす如く、人間の手も、左右に交互に弾かれ、これだけでもかなり楽しい雰囲気であることがわかります。
この第1楽章はとにかく、相手の意表を突く冗談があっちこっちに散りばめられていて、その「驚き」や、「笑い声」を表現しています。
例えば21小節目の3拍目の左手オクターブのGは、テーマですので、8分音符で書かれるはずなのに、何故か4分音符で書いてあります。人をからかうようです。また、90小節目から始まる16分音符4つ+8分音符のユニットは、あっちこっちに高さが飛びます、そしてppになったりフォルテになったり、ここは冗談を言って人を驚かしたり、からかったりする部分で、そして最後に、99〜100小節間でカデンツになりますが、ここは、「はっはっは〜」と言う笑い声と理解します。
このように、楽しさが満載のこの第1楽章、注意点はテンポで、最も多くの人達が犯すミスです。つまりは場所によってテンポが変わってしまいます。酷い例になると10小節目で16分音符が出てくるため、すでにここでテンポが変わってしまう例もあります。44〜45小節間のように細かい音符が出てくるところでも、1小節目と同じテンポを保ってください。もちろん、1小節目をここに合わせても構いません。
次の例は、ベートーヴェンテンペストの1楽章のカデンツにも言えることなのですが、72〜73小節間はオープンペダルとあります。しかし覚えておいてください。これはあくまでその時代の楽器の為のマーキングです。同じ事を現代のピアノでやってしまったら濁りが生じます。適度にペダルをハーフで変えるなりしてみてください。
32小節目 3〜4拍間の左手3度は、3拍目の右手EGを右手の35で取り、3度の上のGAHCを右手で取ります。左手3度が問題無く弾ければこのような事をする必要はありません。109小節目ですが、左手が困難です。左手の最後の音を右手で取って下さい。同様に3拍目の左手も同じです。最後の音を右で取ります。
解説 : 齊藤 紀子
(212 文字)
更新日:2020年2月9日
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解説 : 齊藤 紀子 (212 文字)
第1楽章のハ長調はアレグロの4分の4拍子。冒頭の6小節間、左手は主音のみを奏するが、主題は活発な印象。第2主題(第34小節~)への移行部では、左手で奏する第1主題に右手の音階的な動きが伴う。展開部(第54小節~)では、この形が随所に見られる。フェルマータを経て続く再現部(第108小節以後)では、第1主題に手を加えられているが、その旋律線は明確に示される。この楽章は、ハイドンによる「オープン・ペダル」の指示で知られている。
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