モデラート、ホ短調、4分の4拍子
ソナタ形式を取る。ホ短調の第1主題は、スラーで繋がれた順次進行が多いため、穏和で抒情的な性格をもつ。第2主題は平行調のト長調で提示される(第17小節)。この新たな主題領域は、刺繍音形、和音連打、ワルツ風音形による伴奏として、三連符が絶え間なく鳴り響くことで特徴づけられている。
展開部(第38小節)は、第2主題の素材を用いて構成されている。転調を繰り返し、伴奏音型が変化しても、第2主題に特徴的な三連符が、いずれかの声部で常に鳴り響いている。
この三連符が用いられなくなるのが、第61小節に始まる再現部である。ここでは、第1主題が主調で、第2主題が同主長調で回帰する。第2主題を同主調で回帰させるため、提示部ではホ短調のまま繰り返された主題の再提示(第7小節)を、再現部ではロ短調で行う措置を取っている(第67小節)。