スケルツォ:アレグレット、ト長調、4分の3拍子
主部(ABA’)―トリオ部(CDC’)―主部のダ・カーポから成り、主部もトリオ部もスケルツォ楽章に典型的な三部形式を取る。
スケルツォ楽章に特有のユーモアは、強拍に置かれて重点が置かれるはずの付点四分音符が、スラーの真ん中に置かれるため強調されずに始まる点や、4小節単位で進行する冒頭セクションが10小節で2小節足りずに一区切りとなる点などに表れている。第11小節から両手がカノン風に進行し、その後両手が一緒にクレッシェンドを伴って向かうのは、解決せず総休止へと放り出す減七和音である(第19小節)。そしてA部は、属調のニ長調で終止する(第28小節)。
B部は三度調の変ロ長調で始まり、カノン風に進行する。変ロ音を嬰イ音に読み替え、ト長調の半終止で宙に浮いたように総休止を挟むことで、A部の再現を準備する。A’部はA部の再現だが、主調のまま閉じるよう和声的な調整がなされている。
トリオ部はニ長調を取り、民族音楽的な二分音符+四分音符のリズムと、常に流れる八分音符のリズムとのコンビネーションから成っている。8小節から成るC部に続き、同じく8小節のD部を経て、C部が4小節のみ1オクターヴ高く回帰される構造となっている。