シューベルト :ピアノ・ソナタ 第21番 第4楽章 D 960

Schubert, Franz:Sonate für Klavier Nr.21  Mov.4 Allegro ma non troppo - Presto

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:9分00秒
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解説 (1)

解説 : 髙松 佑介 (888文字)

更新日:2019年4月28日
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アレグロ・マ・ノン・トロッポ、変ロ長調、4分の2拍子

ロンド形式とソナタ形式が統合された、ロンド・ソナタ形式を取る。

本楽章は、オクターヴで重なった長いト音によって幕を開ける。これに続いてハ短調の属和音から冒頭主題が動き出し、8小節のうちに変ロ長調へと転調する(a)。主題が1オクターヴ高く繰り返されると(a)、変ホ長調で新たな動機が簡潔に現れ(b)、これがト音で終止すると冒頭主題が回帰する(a)。第42小節で再び動機bが現れ、今回は変イ長調へと転じる。さらに動機aが主調で回帰することにより、冒頭セクションが閉じられる。このように、ここまでのセクションは2つの動機の交代によって成り立っており、これはロンド形式のルフラン(反復部)、ソナタ形式の提示部第1主題に相当する。

本楽章ではリズム形の変化が形式区分と一致しており、第86小節で新しい主題が提示されると、それに合わせて伴奏形も動的な十六分音符へと変化する。この主題は、ロンド形式におけるクープレ(挿入部)、ソナタ形式における第2主題領域に対応し、最初はヘ長調で提示されるが、総休止(第154~155小節)を挟んでヘ短調のセクションが続くため、二部分へと拡張されている。

第224小節で冒頭と同じト音が鳴り響くと、冒頭主題が主調で回帰する。この部分は、冒頭主題の回帰という点ではロンド形式のルフランに相当するが、冒頭と同様にaabと動機が続いた後、bの動機素材を用いた展開的なセクションが幕を開けるため(第256小節)、ソナタ形式における展開部の役割を備えている。

第312小節に回帰する冒頭のト音を合図に、冒頭主題が主調で回帰する(ルフラン/再現部第1主題)。冒頭と同じく2つの動機から成るが、ここでは短縮されて現れる。第360小節から、クープレ/第2主題領域が、主調である変ロ長調で回帰する。ここでも最初に提示された二部分が保持され、後半部は変ロ短調で再現される。

第490小節に再度鳴り響くオクターヴのト音に導かれて、冒頭主題が切れ切れに回帰する。そして総休止を挟み、駆け抜けるようなプレストの結尾部(変ロ長調)で幕となる。

執筆者: 髙松 佑介

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