シューベルト :ピアノ・ソナタ 第21番 第3楽章 D 960

Schubert, Franz:Sonate für Klavier Nr.21  Mov.3 Scherzo: Allegro vivace con delicatezza - Trio

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分00秒
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解説 (1)

解説 : 髙松 佑介 (759文字)

更新日:2019年4月28日
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スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ、変ロ長調、4分の3拍子

主部(ABA’)―トリオ部(CDC’)―主部のダ・カーポという、スケルツォ楽章に典型的な複合三部形式を取る。主部では、両端のA部が規模の上でコンパクトなのに対し、B部は二部分へと拡大されている。

主部のA部では、8小節の主題が2回提示される。1回目は高音域で、主調である変ロ長調のまま提示され、2回目は両手が役割を交換し、属調の変ホ長調へと転調する。B部は、まずA部のテクスチュアを引き継ぎ、転調を重ねる。ゼクエンツによって、変ホ長調から変イ長調、変ニ長調へと転じると、第33小節において八分音符の伴奏形が途切れ、新しいセクションが始まる。ここでも転調が一つの主眼となっており、変ト長調へ逸脱した後、嬰ヘ短調への転調を経てイ長調へと至る。B部末の第67小節では楽曲冒頭のテクスチュアが回帰し、スラーによってB部末と繋がる形で、主部が回帰する(第69小節)。ここには、大枠ではABA’という三部形式を取りつつ、再現部の入りをそれとして聴かせない工夫が見て取れる。A’部でも、A部と同じく8小節の主題が声部転換を伴って2回演奏されるが、再現部は変ロ長調で終止する。

トリオ部は、同主調である変ロ短調を取る。1小節目の強拍を強調せず、2小節目の頭を強調するという拍節感には、シューベルトの才気煥発さが表れている。10小節から成るC部が変ロ短調から変ニ長調へと転じると、D部は変ト長調の第1転回形によって始まり、変ロ短調の半終止となる(第18小節)。これに続いてC’部が、冒頭より1オクターヴ高く、旋律が変形されて現れ、変ロ短調のままトリオ部を閉じる。このように、規模の小さいトリオ部にも、再現部を単なる再現に留まらせないための創意工夫が見られる。

執筆者: 髙松 佑介

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