ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第29番「ハンマークラヴィーア」 第4楽章 Op.106

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.29 "Hammerklavier" 4.Satz Largo-Allegro risoluto

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:11分30秒
  • クリックして画像を開く
  • tab
30747 1

解説 (1)

解説 : 岡田 安樹浩 (650文字)

更新日:2019年2月16日
[開く]

(第4楽章)変ロ長調 4分の4拍子/4分の3拍子

前楽章から半音下がったヘ音の反復によって開始される序奏は、その全体が調性を探っているかのようである。変ト長調、ロ長調、嬰ト短調などを経由し、イ長調に到達する。イ音の連打の中でバスがヘ音に進行し、主部の変ロ長調のドミナントととして機能する。

主部は「3声フーガ、幾分自由にFuga tre voci, con alcune licenze」と記されている。フーガ主題は、10度の跳躍とトリル、そして16分音符の順次進行に半音階的な変化が加えられた極めて特徴的なものである。対主題は第2拍目に強勢が置かれるリズム的な特徴をもち、続く自由楽区は対主題とリズムを補完し合う関係にある。

次のセクションでは変イ長調に転調し、フーガ主題の後半と対主題の後半、そして3度/6度で順次進行する新たな対主題でフーガが展開される。続いて変ト長調、変ホ短調、変ニ長調、変イ長調などへ転じ、主題の中から紡ぎだされた楽想やトリルさえも1つの動機として利用してフガートが展開される。

新たにロ短調のセクションに入り、主題の逆行形によってフーガが展開される。ニ短調のドミナントに半終止すると、二長調で新しい主題によるカンタービレ風のフーガとなる。変ロ長調に移行し、本来のフーガ主題が入り込んでくる。これに、これまであらわれた主題の変形や対主題があらわれ、さらにバスにオルゲルプンクトのトリルをともなって動機を回想する。最後にフーガ主題の一部とオクターヴでのトリルをもって楽曲をしめくくる。

執筆者: 岡田 安樹浩