ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第12番 「葬送」 第2楽章 Op.26
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.12 2.Satz Scherzo and Trio: Allegro molto
作品概要
解説 (1)
解説 : 岡田 安樹浩
(426 文字)
更新日:2019年2月16日
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解説 : 岡田 安樹浩 (426 文字)
更新日:2019年2月16日
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(第2楽章)変イ長調 4分の3拍子 スケルツォ
変イ音から変ホ音へ順次上行するスケルツォ主題は、主調である変イ長調の音階固有音ではないニ音をとることでいきなり意表をつく。この順次進行はリディア旋法のようにも感じられるが、この4小節からなるこの動機は変ホ長調に終止しており、すぐに変イ長調に終止するべく4度上(変二音から)で反復されることから、冒頭は属調で開始されたことがわかる。このような聴き手の意表をつく開始は同時期に作曲された《交響曲第1番》の冒頭にもみられ、こうした「遊び心」とも「野心的」ともとれる作曲法は、この時期のベートーヴェンの1つの特徴的な側面であるといえよう。
16小節間のスケルツォ主題の提示と確保の後、これを発展的にあつかう主部(変イ長調)に入る。なお、ダ・カーポの際は冒頭の16小節は省略される。
トリオは下属調である変ニ長調をとり、冒頭では属調→主調の関係で導入されたのに対し、トリオから主部への調性関係が下属調→主調に置き換わる。
執筆者:
岡田 安樹浩