大人しめのアルマンドです。f-mollと言っても激しさがなく、品の良い、軽快な感じもあります。このアルマンドでは、ハーモニックシークエンスが多く出てきます。同時に転調もあり、その辺りの見極めで意見が分かれます。
前半、f-mollで始まり、中間部でAs-durに転調します。9小節目3拍目がAs-durのカデンツとなります。ここから音楽は上行形を辿り、前半を終了します。11~13小節間、Dがナチュラルになり、c-mollをイメージさせますが、同時にf-mollのドミナントもイメージさせます。いずれにせよ、テンションの高い部分(前半最後の部分)と言って良いでしょう。
後半、f-mollのドミナントで始まるような感じを受けますが、17小節目でb-mollと感じ、19小節目でAs-durと感じる、または、これらは単なるハーモニックシークエンスと見なすか、意見が分かれるところです。ここからは再び、規模の小さいハーモニックシークエンスがあり、25小節目、f-mollのドミナントで落ち着きます。
奏者はこれら、転調の部分に対して(転調と考えるのであれば)、各調に適切なカラーを与え、調によって音質を変えるようにします。
特にドラマティックな曲でもありません。もう1つの注意としては、音楽をスムーズに横に流すことが重要で、常に強弱に気を遣い、平坦な部分ができないようにしてください。