目の覚めるような生き生きとした演奏が望ましいアレグロです。前半・後半ともに、右手は2箇所しか休符がありません。こうして考えると、前半・後半ともにフレーズは3つずつしか無いとも考えられます。
この曲にとって重要な事は、はっきりした、幅の広い強弱です。特に、休符の無い長いフレーズとして考えた場合、方向性を失いがちになります。フレーズの何処がピークで、どこがもっともpになるべき場所かを考え、ピークポイントに向かって、基本的には徐々にテンションを高めていくのですが、特に後半、転調しますので、調の影響も考えなければなりません。
前半から見ていきましょう。1つ目のフレーズは2小節目の3拍目で終わります。下行して終わっているのでディミヌエンドと考えても良いのですが、それまでのフレーズの傾向が、保続音を頼りに進んでいて、2小節目2拍で、ようやく保続音が無くなり、音階に変わります。3拍目、フレーズの最後の音はクレシェンドで終わることも1つ可能性としては考えられます。
対して4小節目の3拍目、2つ目のフレーズが終わりますが、ここもクレシェンドで終わるか、あるいはこれは1つ目のフレーズの答えと考えた場合、 ディミヌエンドのほうがしっくりと行くのか、このような事も考えてみましょう。3つ目のフレーズは山を登ったり降りたりしますが、13小節目において、フレーズは最高音であるCまで達しますので、そこから下行しますが、14小節目の最後の和音に向かってクレシェンドをかけても効果的です。
後半、F-dur、B-dur、g-moll、d-moll、と転調します。その度に強弱を変化 させてください。最後は、前半と同じく、クレシェンドで終わって良いでしょう。