即興性も必要とされるアダジオです。基本的には、伴奏(左手)の上に、メロディーラインが乗っているホモフォニーに近い構成になります。この手の曲は、下手をすると間延びして聞こえてしまいますので、いくつかに曲を分割してみましょう。
特徴としては、左手の伴奏形は徐々に下行するという傾向があります。1小節目から始まり、6小節目1拍目表拍でC-durのカデンツとなり、ここで1つの区切りとなります。それから先は、恐らくですが、強弱的にはpから再び始まることが理に適っていますので、そうなりますと、1小節目から6小節目まで、徐々にテンションを上げていく方がスムーズに曲が流れます。
次は9小節目の1拍目表拍で、ここはd-mollのカデンツとなり、ここでも1つの区切りとなります。再び音量を落とし、多くのハーモニックシークエンスを経て、テンションが高まります。そして最後はF-durのIIIの和音である、ACEという和音で終わる、ショッキングでもあり、感傷的なカデンツでもあります。その辺りの意外性を強調し、強弱を付けて表現してみて下さい。