ヘンデルのユーモアたっぷりの楽しいジグです。とても楽天的要素が強いので、重たく弾くことはせずに、軽快に弾きたい曲です。よって、アーティキュレーションはある程度のスタッカートを含めた方が良いでしょう。例えば、前半、後半の冒頭左手に、連続して出てくる付点四分音符等も必ずしもレガートで音価を守る必要もないと思います。この辺りのアーティキュレーションは奏者に委ねられます。
前半、後半ともに出てくる dis と d が、その辺りの調を、A-durかE-durのどちらかに決定します。ところが、24小節目から始まる後半では、33小節目辺りでA-durに落ち着いたかと思いきや、39小節目にdisが登場し、またE-durかと思わせておいて、40小節目ではすぐまたA-durに戻るべく、disがdに変わります。
後半、29小節目でfis-mollを連想させつつ、30小節目でh-mollを連想させ、31小節目でE-durと、完全5度のシークエンスになります。
曲全体がこのように、人の期待を裏切る、またはもてあそぶ作りになっていて、突然に起こる変化に伴い、強弱も、突然に変化させても良いでしょう。