このクーラントは単純拍子の3/4で書かれてあり、一見テンポの速いクーラントかと考えがちですが、例えば、4~5小節間に見られるような、連続したトリルの後に書かれている32分音符等を考えたとき、そこまでテンポが速いクーラントでは無いのかもしれません。
着目すべきは2種類の終止形です。1つは9小節目、21小節目、48小節目に見られる4分音符が半拍ずれて3つずつ現れるカデンツです。これが来たときは次の小節がカデンツになります。実際9小節目は、10小節目でA-dur、21小節目は、22小節目でE-dur、48小節目は、49小節目でA-durの終止形とぞれぞれなります。
もう1つは、4声体以上になる重厚な和音で、これは2箇所、20小節目と、33小節目で、この和音が来ることでリズムの流れは止まり、この和音が属和音としての機能を持ち、調が決定される=後にカデンツとして認定されることを意味します。実際、20小節目はE-durのドミナントで、23小節目にE-durの終止形を迎えます。33小節目は、fis-mollの属和音で、本来であれば、35小節目が主和音となるのですが、ここで更にヘンデルはh-mollを連想させる方向に導きます。いずれにせよ、この2つの和音は、調性を認識させるための重要なポイントとなります。
奏者はこれらのカデンツ(終止形)を認識し、曲を分割して判りやすく聴かせて下さい。