バスティン :ピアノライブラリー ピアノソロ レベル1 大すきなおべんとう
Bastien Family:Library Piano Solos level 1 My Favorite Lunch
演奏のヒント : 大井 和郎 (384文字)
この曲に関しての注意点を述べます。
1 1~2小節間のメロディーはシェーピングをかけ、平坦にならないようにして下さい。5~6小節間も同じです。1小節目4拍目のCがゴールの音とお考え下さい。
2 2小節目と6小節目、同じ音(A)が続くとき、できる限り、次の音まで切らないようにして下さい。
3 10~12小節間、トップの音であるDが最も聞こえるように弾いて下さい。左手で取るため、バランスが狂いがちです。どうしても上手くいかない場合は、右手で、FACを弾き、左手はDのみを強い指で弾くとDが鳴ってくれます。
また、和音の一番下の音、Fも重要な音です。これもかすれないようにして下さい。
曲は、「中ぐらいの速さで」 と表記がありますが、この曲の基本的な性格が楽天的なムードなので、間延びしない、生き生きとした雰囲気が欲しく、そのためにはテンポが遅くなりすぎないように注意して下さい。
解説文 : 熊本 陵平 (696文字)
ヘ長調。
一部形式
a (1から4小節)+a1(5から8小節)
コーダ(9から12小節)
主題(1から4小節)は前半2小節と後半2小節で異なる二つのモティーフを有する。前半のモティーフでは非和声音、経過音を含む滑らかな動きが中心であり、後半のモティーフは和音を使って、リズミカル、コーダにおける同モティーフの展開を考えると打楽器的要素さえ感じられる。
また前半2小節は伴奏がない単旋律であり、2小節にまたがるスラーによってレガートでの表現が想定されるが、2小節6小節ではa音が同音反復している中でのレガートのため、打鍵の際に指をなるべく鍵盤から離さずに後続音を打鍵する必要があり、これを導入期の子供達が練習するのであれば、根気強い指導が必要だと考える。しかし、こうした辛抱強さも、本作品が教育目的で作曲された背景を鑑みれば、教育の早い時期から音と打鍵に対して意識を持ってもらうために必要なことなのかもしれない。
全体として単旋律が多いため、和声的変移はあまり感じられない作品ではあるが、唯一7から8小節にかけては、第5音上方変位音gisが含まれる属7和音の第三転回から主和音によって和声解決されている。このgis音は異名同音でasと捉えると、実はFブルーノートスケールにおける♭3音のブルーノートである。アメリカ人であるバスティンらしい音の配置だと思う。
10から12小節でcとd音の2度音程があるが、和声的にはⅠ和音における付加6音であるd音を加えたものだと考えられるが、それよりも2度の不協和音程による鋭い響きによるびっくりマーク(エクスクラメーション)の表現、幾分打楽器的なものかもしれない。
【2024ピティナコンペ課題曲】大すきなおべんとう
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