ベンダ :34のソナティナ 第23番 ト短調
Benda, George Anton(Jirí Antonín):34 Sonatine No.23 g-moll
解説 : 佐竹 那月 (120文字)
8分の6拍子。冒頭で主要主題が提示され、第9小節から第2主題が提示された後、第19小節から主調で主要主題が回帰する。そして、第26小節後半から始まるト長調の展開部的な部分を経て、第35小節から再び主調で主要主題が回帰し、曲が締めくくられる。
演奏のヒント : 大井 和郎 (1130文字)
このソナチネはほぼ、弦楽四重奏と思って間違いありません。弦楽四重奏を知らない生徒さんは、youtube等で動画ご覧ください。ヴァイオリン2本、ビオラ1本、チェロ1本で編成されています。1つの指導法ですが、もしも音楽ソフトなどをお持ちの先生方は、弦の編成通りに楽器を選び、このソナチネを弦楽四重奏として弾いた音源をお作りになられれば、これほどわかりやすい音源サンプルは無いでしょう。3声の部分の考え方として、ヘ音記号が2声の場合チェロとビオラ、ト音記号にヴァイオリンを、ト音記号上に2声ある場合は、ヴァイオリン2本でも良いですし、ヴァイオリンとヴィオラでも良いです。とにかく一番上の声部をヴァイオリン、一番下の声部をチェロに振りわけ、あとはヴィオラかヴァイオリンのどちらかにすれば良いでしょう。
そうすると、例えば1小節目のヘ音記号の部分、1拍目と2拍目のそれぞれ表拍に登場する和音は、単なるアタックとして弾くのでは無く、弦楽器がずっと音を伸ばし、音を変える際には指をずらすだけで、結果アタックは生じない事がよくわかります。また、4小節目のト音記号に登場する6度は、弦のボーイングが短く、柔らかく奏でる感じを出します。
これらが弦楽四重奏として考える考え方で大変重要です。奏者はできる限り音楽を縦割りにせず、横に流れるように最大限工夫してみてください。
このソナチネには、「増6の和音」と呼ばれる和音が登場します。これは古典派時代からよく用いられた和音で、独自の雰囲気を作り上げます。このソナチネには、その増6の和音で、イタリアン6と呼ばれる和音が登場します。一回目は3小節目に現れ、この時2拍目のcisは4小節目のDに上行する事で解決され、バス音のEsは次の4小節目でDに下行する事で解決されると考えます。従って、4小節目の頭にはアクセントを付けないように、3小節目よりも音量が大きくならないように注意します。
17小節目の最後の和音も同じですね。ただしこの場合、ト音記号にに書かれているGとCisは次の小節で、サスペンションとして残されていますので、18小節目1拍目の和音は大きく、2拍目は解決音なので弱くとお考えください。
また、このソナチネに書かれております強弱記号なのですが、書かれているその場所に有効という考えでは無く、書かれているセクションそのものを従う事で理に適います。例えば、11小節目にかかれているフォルテは、12小節目の1拍目表拍までと考え、そのセクション全体をわりと大きめにと考えます。
さらに、このソナチネに書かれているフォルテ記号に関してですが、ショパンやラフマニノフのようなフォルテではありません。くれぐれも大きくしすぎないように注してください
34のソナティナ 第23番
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