サン=サーンス :動物の謝肉祭(2台ピアノ) 水族館
Saint-Saëns, Camille:Le carnaval des animaux "Aquarium"
解説 : 中西 充弥 (298文字)
水族館は動物か、というともちろんそうではない。冒頭で説明したように、これはカーニバルの行進であり、魚を歩かせることはできないので、フロート車に水槽を載せているのである。水族館のトンネル水槽ですいすい泳ぐ魚たちを見上げる光景は何とも幻想的であるが、その様子と印象を描写している。オーケストレーションとしてはやはり最初に注意を引くのはグラス・アルモニカ(グラス・ハープと同じ発音原理の楽器)の音であり、これが曲のトーンを支配しているけれども、実は陰にこっそり忍び込ませてあるフルートの中低音域も見逃せず、ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》以降、印象派等で多用されるフルートの用法を先取りしている。
動物の謝肉祭 7. 水族館