リスト :コンソラシヨン(慰め) 第3番 S.172/3 R.12 変ニ長調

Liszt, Franz:Consolations  Lento placido Des-Dur S.172/3

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:3分30秒

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1301文字)

更新日:2019年8月24日
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この小曲は決して、他のリストの作品に見られるような、超絶技巧的な技術を要する曲ではありませんが、音楽的にとても難しい曲です。しかしながら、大変勉強にもなる曲です。オクターブが届く学習者は、積極的に勉強して良い曲だと思います。

この曲を演奏するにあたり、典型的な失敗例をあげておきます。典型的な失敗例としては:

1. 2対3、あるいは3対4を正確に弾きすぎてしまう。

4小節目、5小節目の3ー4拍間、あるいは、6小節目4拍目、など、左右のリズムはは2対3や3対4で書かれています。これらのリズムを正確に弾こうとすればするほど、奏者はメトロノームに近い

演奏になりがちです。特に、ずれることを恐れている奏者であればなおさらです。例えば、4小節目のB C Des F は、もちろん、2対3で弾くのですが、この8分音符4つは左手に合わせて、慎重に正確に弾くのではなく、8分音符4つを、「1つのものとして」一気に弾くようにします。一気にと言っても、そこだけ極端に速くするとかそういうことではありません。8分音符ひとつひとつに対して、「1回ずつ力を入れずに」、4つひとまとめで弾くという意味です。

そうすると、若干ですが(本当に気がつかれないほど若干です)、テンポがその部分だけ上がるかもしれません。それを左手がフォローするようにします。同じ事が、6小節目の4拍目に言えます。この4拍目の16分音符こそ、一気に弾くようにします。左手と正確に合わせてはいけません。

硬く聞こえてしまいます。

2. 左手の流れを止めてしまうミスを恐れ、慎重に左手を弾くことで、流れを止めてしまう傾向が典型です。例えば冒頭3小節、左手のバスの音に達するのに広いリーチですね。できる限り時間を食わないで、流れを止めないようにしましょう。

31ー32小節間、特に、32小節目、流れを絶対に止めないようにします。40小節目も同じです。

余計な時間は一切取らず。ピークに向かって音楽を前に前に進めます。

3. バランス

もともと2対3とか、3対4のリズムの曲というのは、それでなくても硬く聞こえがちです。その場合、左右のバランスを取ることが必須になります。左手はppで、右手は、歌の部分ですので、しっかりと太い音で演奏します。この2つの声部の音質は全く異ならせることが大事なことです。

4. オクターブ

綺麗に弾けているのに、20小節目に入ったとたん、突然音楽が硬くなる例は後を絶ちません。理由は簡単で、メロディーラインがオクターブになるからです。オクターブになった場合、音量は半分以下に落とすとスムーズに聞こえます。

5. 2重唱と考える

例えば、28小節目から、メゾフォルテ、espressivoで始まる、アルト歌手の歌があるとします。

対して、30小節目はまた別の、ソプラノ歌手が歌うと考えます。30小節目のほうは、かなり柔らかく始まり、34小節目のピークポイントに向けてクレシェンドをかけていきます。

それと同じような場所は、例えば、45小節目からの歌の部分と、49小節目の歌の部分です。いずれも2重唱と考え、声質の異なった人達が歌っているように演奏します。

ご参考まで。

執筆者: 大井 和郎