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リスト : 巡礼の年 第2年「イタリア」 「サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ」 S.161/R.10-3 A55

Liszt, Franz : Années de pèlerinage deuxieme année "Italie" "Canzonetta del Salvator Rosa"  S.161/R.10-3

作品概要

楽曲ID:23726
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:9分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (2)

解説 : 伊藤 萌子 (198 文字)

更新日:2019年1月9日
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本作品のみ、約十年後に作曲された。カンツォネッタとは16世紀後半に流行した、軽い気分の小歌曲のことであり、第2番と打って変わって、非常に明るい曲である。題にあるサルヴァトール・ローザは17世紀のイタリアの画家、彫刻家、詩人。カンツォネッタの歌詞は「私のいる場所は変わるが、情熱は変わらない」という内容であるが、リストが載せた詩は実はボノンチーニによるもの。この歌詞の旋律は曲中様々な声部に現れる。

執筆者: 伊藤 萌子

演奏のヒント : 大井 和郎 (607 文字)

更新日:2018年3月12日
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3. サルバトールロザのカンツォネッタ

まさに歌曲です。歌の部分には歌詞が付けられていますので、どの部分が歌であり、どの部分が伴奏の部分が一目瞭然ですね。形式は3部形式で、1-26小節間がA 27-47小節間がB 48-75小節間がA になります。全般を通して、楽天的で明るい歌になります。しかし威厳を忘れず、ルバートをあまりかけず、どちらかというと淡々と前に進む曲になります。

冒頭、特にダイナミックマーキングは書かれていません。5小節目で歌が登場しますので、そこからはメロディーラインを最も際立たせてハッキリと演奏しますので、逆に1-4小節間はおとなしめに始めると良いと思います。歌は2小節間のみになりますので(5-6小節間)、7-8小節間は再び大人しく演奏します。9小節目、歌はオクターブになりますが、2重唱ではなく、音量的に大きくなると考えます。

15-16小節間、雰囲気をがらりと変えます。今までとは全く異なった柔らかなムードを作ります。後に、Aセクションは22小節目を目指してクレシェンドをかけていきます。

27小節目からBセクションですが、ここからは平行調のFis-mollになります。メロディーラインはバスに出てきますので、バスの歌手に入れ替わった様子と考えて良いと思います。33小節目からは再びバリトン歌手が登場し、掛け合いになります。

48小節目、再びAセクションに戻り、調もA-durに戻ります。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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