リスト :巡礼の年 第1年「スイス」 「泉のほとりで」 S.160/R.10-4 A159

Liszt, Franz:Années de pèlerinage première année "Suisse" "Au bord d'une source" S.160/R.10-4

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:4分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2022:F級

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1171文字)

更新日:2018年3月12日
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4.「泉のほとりで」

この曲の難易度はとても高いです。多くの跳躍があり、技術的に大変なあまり、重要な音楽面を損ないがちです。もっとも良くない結果としては、演奏が機械的になってしまうことにあります。最初から最後まで基本的に1つのテンポです。しかし前へ前へ進む曲ではなく、十分なルバートを用いて、優雅にゆったりと弾けることが目標になります。また、転調の際の色の変え方も重要です。

リストはフレーズの終わりにdiminuendoマーキングを書いています。例えば、1小節目から始まって、3小節目1拍目で1つの区切りとなります。その先、4小節目の4拍目、7小節目の1拍目などが区切りです。区切りまでを1つのフレーズと考え、その間にルバートをかけます。フレーズの終わりはほんの少しだけテンポを緩ませると美しい余裕が出てきます。良くない演奏としては、その部分を暴走して先へ先へと進んでしまうことです(ただし、だからと言ってフレーズの終わりに必要以上のritなどはかけません、テンポを変えることなくほんの少しだけゆるむ感じです。これをテーパーリングと呼びます)。

7小節目、カラーが変わります。このような部分ではソフトを踏んでも良いと思います。

11-12小節間のトレモロなども2つとして同じ音量を作らず、また2つとして同じ速度にせず、12小節目2-3拍でテンポを緩ませ、フェルマータに入ります。

13小節目、sempre dolce egraziosoは大事な事です。どんなに技術が困難な箇所でもこれを守ります。

17-19小節間、19-20小節間再びカラーを変えて下さい。以降、転調の際にはカラーを変える事を忘れず、ルバートをかける事を忘れず、そしていつでもdolceで弾くようにします。

41小節目からはこの曲の中で唯一音量が上がる部分です。ここからスタートしたら46小節目を目指して下さい。

49-50小節間の下行はゆっくりぼやけた感じで降りてきます。マルカートにはしません。

さてここから先は、技術的に余裕ができたらで良いのですが、この曲の特性を理解しましょう。1小節目、右手16分音符の内声をご覧ください。As Des Es G Des Es  B C Es As C Esとありますね。2拍目As Des Es G Des Es の Des とEsは保続音に過ぎません。変化しているのは、As と Gですね。同じく3拍目、CとEsが保続音ですので、B と Asが変化しています。つまりは、拍の表に非和声音が来て、裏拍に解決音が来ます。6小節目の1拍目、メロディーをご覧ください。Cis H とありますね。こちらも裏拍に解決音が来ています。このような箇所が本当にあっちこっちにあります。注意することは、これら裏拍の解決音にアクセントを付けないように注意する事です。

執筆者: 大井 和郎

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