ベートーヴェン :11のバガテル 第8番 Op.119-8 ハ長調
Beethoven, Ludwig van:11 Bagatellen Nr.8 C-Dur Op.119-8
解説 : 鐵 百合奈 (336文字)
Moderato cantabile 中庸の速さで、歌うように
秀逸な短編小説のような小品で、いくつもの多彩な要素や複雑な素材が盛り込まれていながら、品よくまとめられている。前半(第1~8小節目)は“molto ligato”「極めて滑らかに(ベートーヴェンはlegatoをligatoと書いた)」で、半音階的にせり上がる。弦楽四重奏の音色を想像しながら、なるべく音を保持して、打鍵時のアタックを感じさせないように弾くと良いだろう。第9~12小節はコラール風の響きがあり、広い空間を感じさせる。第13小節目からは、前曲(第7番)の木霊する断片的な旋律が見え隠れする。第17小節から最後にかけての4小節間は、左手が三度の重音で登っていき、右手がそれを引き受け、微笑んで収まる。
[CBJ 2020]ベートーヴェン:11のバガテル 作品119-8
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