ベートーヴェン :11のバガテル 第4番 Op.119-4 イ長調
Beethoven, Ludwig van:11 Bagatellen Nr.4 A-Dur Op.119-4
解説 : 鐵 百合奈 (349文字)
Andante cantabile 歩く速さで、歌うように
三声による対位法で書かれ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの弦楽三重奏を彷彿とさせる。ベートーヴェンは弦楽三重奏曲を5曲(ヴァイオリン2挺とチェロによる編成のものも含めると6曲)、1794年から1798年にかけて書いており、この第4番が作曲された年代(1800年~1804年)に比較的近い。三声体は、弦楽三重奏の響きを念頭に書かれたのではと想像しても、あながち的外れではないだろう。
構成はシンプルな二部形式。上声が素朴な民謡風の旋律を歌い出すと、中声が6度で調和し、続いて低声も対旋律を奏でる。後半は中低声が支えるハーモニーの上で、上声が無邪気に遊ぶ。日常生活でふと見上げた空に心を洗われるような、ささやかな幸せがあたたかく掬いとられている。
[CBJ 2020]ベートーヴェン:11のバガテル 作品119-4
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