Scherzo allegro スケルツォ(諧謔的に、おどけて)、快速に
スケルツォ部分の楽節構造は、偶数を基本とする整然としたものだが、弱拍の特徴的なアクセントによって、まるで不均等であるかのように滑稽な印象を聴く者に与える。スケルツォの16小節間は(4+4+2+2+1+1+1+1)と、フレーズの尺が半分になっていく構成である。これはまるで、千鳥足で何かにつまずきながら坂道を転げ落ちていく様子を、コミカルに描いているようだ。Minore(短調部分)は平行調のイ短調になり、息の長い旋律が歌われる。中間部Trioは2小節ごとに左右の役割が入れ替わる。2拍目にsfが付されているため拍節感が希薄でなぞかけをされているよう。スケルツォの再現はリピート部分が細分化による変奏になっており、その流れのまま続くコーダは末尾がどんどん縮められ、最後は笑い声のこだまで終わる。