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バッハ : アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 チェンバロ独奏曲 BWV Anh.129 変ホ長調

Bach, Johann Sebastian : Das zweiten Notenbuch für Anna Magdalena Bach Solo per il cembalo Es-Dur BWV Anh.129

作品概要

楽曲ID:22608
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:3分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用7

楽譜情報:9件
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解説 (2)

解説 : 林川 崇 (317 文字)

更新日:2020年5月2日
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アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳に書き込まれた曲の中には、バッハの息子たちの少年時代の作品も含まれており、次男エマヌエルの作品も6曲ある。

その中で恐らく最後に書かれたこの曲は、左手の対位法的な処理、右手の旋律における3連符、シンコペーション、逆付点などの多彩なリズムの他、第1719小節では、短調と長調を揺れ動く和声が使われ、繊細な感情表現が成されている点も注目される。これは父バッハもしばしば用いた手法で、後にエマヌエルの代名詞ともなった「多感様式」をも予感させる。

勿論、清書される以前に父による指導や添削はあっただろうが、それでも若いなりに趣向を凝らした曲となっており、音楽帳の他の5曲と比べて格段の成長振りを窺わせている。

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (366 文字)

更新日:2024年4月21日
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アレグロで、2/4ですので、本来であれば相当速いテンポで演奏されても良いのですが、16分音符の3連符や、トリル等を総合的に見たときに、あまりにもテンポを速くすることで生じるプレッシャーは、聴いている方に「忙しい」印象を与えます。

曲そのものは大変楽天的で、ウイットに富んだ楽しい曲に仕上がっていますので、極端に速いテンポによる速いパッセージは、曲の雰囲気とは少し違う気がします。

例えば16小節目、1拍目の頭に対して、休符が入ってきます。そして、左手は次に同じ音の連打になります。このような連打を大きく速く弾く演奏と、軽く、上品に、ゆっくり弾く演奏では雰囲気がガラリと変わってきます。

全体的なテンションはそこまで高くないとお考え下さい。意外な転調や、リズムの面白さを出すのですが、技巧的、挑発的ではなく、上品さ、楽しさを出してください。

執筆者: 大井 和郎