まず、フレーズは4小節単位で書かれていて、全部で8つのフレーズがあります。奏者は個々のフレーズの表情や心理状態を、メロディーラインや和音から察し、違いを付けて下さい。
ここまでは、他のメヌエットと同じなのですが、このメヌエットは少し複雑です。
このメヌエットは基本的に3声で書かれているとお考え下さい。ただしその3声が完全に独立しているわけでもなく、そこが難しいところです。例えば、1~4小節間、へ音記号に書かれているテノールのラインはとても旋律的ですね。これも上のメロディーと2重唱と考え、歌わなければなりません。
しかし5~6小節間を見ると、ラインは1声にしか見えませんが、この場合、バスを、C H A H A Gと考え、このラインを旋律的に処理し、上の方に書かれているGとかFisは保続音(ペダルポイント)と考えます。
また17小節目になりますと、ヘ音記号でも、バスとテノールが独立して、双方メロディーラインになりますね。ここでラインを完全に独立させれば良いかというとそうでもなく、例えば、22小節目1拍目に書かれているのはテノールのAisで、これは本来Hに進むべき導音(h-mollのセクションなので)なのですが、ここでテノールのラインが終わってしまいます。
このような場合、22小節目バスの最後の音である、Hに解決させます。この小節のバスだけを弾くと、Hに向かってクレシェンドしたい衝動に駆られますが、Aisの事を考えるとHはAisよりも弱くします。
このような配慮が必要になります。