とても単純な形式のプレリュードですが、それだけに細かな工夫が必要とされます。2部形式ですが、次のように考えます。
主題が1ー2小節間と決めると、これと同じような主題は曲中4回出てきます。例えば1ー2小節間と3-4小節間の主題を異ならせて弾かなければならないとしたらどのように違いを付ければ良いでしょうか?1ー2小節間の方が、3ー4小節間よりもテンションが高い感じがしますね。
1ー2小節目は生き生きとフォルテで、3ー4小節目は少し控えめにpで弾いてみることもできますね。いずれにせよ、2つの主題の違いを付けます。
そのように違いを付けたら今度は、9ー10小節間と11ー12小節間を比べてみましょう。 9ー10小節間はこれまでで初めて、9小節目と10小節目の調が異なります。G-durで始まり、a-mollで終わっていますね。9小節目をmF、10小節目をPと言った具合に主題そのものの中の強弱をを異ならせることも可能だと思います。
そして最もテンションの高い主題が11ー12小節間です。音的にも今までで最も高い音にリーチしていますね(12小節目1拍目のC)。さて、この11ー12小節間の主題ですが、今までの3つとは異なった事柄が1つあります。各主題の最初の小節の左手の動きをご覧ください。16分音符3つに4分音符が2回続きますね。
ところが、11小節目だけは3ー4拍目にこのパターンが来ません。いつもなら4拍目は4分音符なのですが、16分音符で書かれていますね。どのような感じを受けますか?筆者はこの主題は他と比べて12小節目に(次の小節)に向かっていく、方向性が強いと感じます。ですので、11小節目の3ー4拍間は16分音符を利用してクレシェンドをかけてみましょう。そして12小節目のピークに達しましょう。
次に主題以外の部分についてのお話です。主題部分以外の小節は3つのシークエンスと考えます。 即ち、5小節目で1つ、6小節目で1つ、7ー8小節間で1つと考え、3つのシークエンスです。 例えばですが、5小節目は強めに、6小節目は弱めに、7ー8小節間は再び強めにというような弾き方でも良いかもしれません。決してこの4小節が平坦にならないように。
同様のことを13ー16小節間で行います。