スクリャービン :10のマズルカ 第10番 Op.3-10 変ホ短調
Scriabin, Alexander:10 Mazurkas Mazurka es-moll Op.3-10
解説 : 山本 明尚 (258文字)
主部の楽想には、小節毎に強拍で執拗に奏でられるC♭音によって不安定な印象が与えられている。この不安定さは32小節目の完全終止に至るまでまで持続し、楽曲の中で重要な役割を担う。まさしくこのC♭音によって楽曲が未解決のまま締めくくられることも重要である。副次部分にも冒頭旋律が動機として用いられているが、動きのある伴奏や声部の入れ替え、ゼクエンツにより、音楽の雰囲気は大きく変化している。ロ長調のトリオも三部形式をなしており、それぞれの楽想が調性的、楽想的、テクスチャ的に不安定な楽曲冒頭部分と鮮やかな対比をなしている。