スクリャービン :10のマズルカ 第5番 Op.3-5 嬰ニ短調
Scriabin, Alexander:10 Mazurkas Doloroso dis-moll Op.3-5
解説 : 山本 明尚 (172文字)
カノン調に導入される主題は、ルバートと左手の半音階的進行により、情感を掻き立てる。他の楽曲に比べるとテクスチャは薄いが、マズルカ的なリズム感が徐々に前面に現れてくる。副次部分は低音からゆっくりと上行していく旋律と、半音階的な伴奏の和声とが表現豊かである。トリオでは嬰ト単調へと転調し、中声部で保続されるD♯音に乗せて、旋律が伸びやかに歌われる。