ショパン :3つのノクターン (第1-3番) 第2番  Op.9-2 CT109 変ホ長調

Chopin, Frederic:3 nocturnes (b;Es;H;) Nocturne No.2 Es-Dur Op.9-2 CT109

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:3分30秒
ピティナ・ステップレベル:基礎5,発展4,展開1
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解説 (2)

解説 : 林川 崇 (830文字)

更新日:2019年1月15日
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Nocturne Op.9 No.2

言うまでもなく、ショパンのノクターンの中で最も知られたもので、ショパンの死後、ヴァイオリン、チェロ、声楽用などの編曲が盛んに作られた。

曲のフレーズは最後の2小節を除けばすべて4小節のフレーズから成っており、以下のように図式化される。

全体を通じて、左手が一貫して同じ伴奏型を続け、その上で右手の旋律が歌われる。変ロ長調のBの部分は2回ともほぼ同じ形で表れるが、AおよびCの部分は出てくるたびに違った装飾が施されている。このような旋律の装飾法は、当時のオペラ・アリアの演奏習慣に由来するもので、声楽を愛したショパンはこれを積極的にピアノ演奏に取り入れた。この装飾は、ショパン自身、毎回違うように弾いたらしく、そうした出版譜と違った変奏が、あるものはショパン自身の演奏を書き取ったものとして、またあるものはショパンが弟子の楽譜に書きこんだものとして、多数残されている(こうした資料が多く残っているケースは、ショパン作品にあっては珍しい。中には、右手が最高音域から3度の半音階で下降するというものもある)。ドラクロワをはじめとするショパンの取り巻きたちは、この即興性や演奏のたびに音色を自在に変化させる能力にショパンの才能を認めている。こうした彼の演奏習慣は、「楽譜通り」の演奏を基本とする演奏美学と大きく異なる点である。

平明なAに対し、Bの部分では、1小節目で、変ロ長調のVの第一転回形に行ったかと思うと、次の小節で、バスが半音下がって変ホ長調のIV-Iと進行(譜例1, 第10小節)し、また、バスが半音上がって変ロ長調に戻り、安定したかと思うとAに戻る直前で唐突に半音階的和声(譜例2)が現れるなど、何か彷徨うような和声がコントラストを成している。ショパン作品全般を特徴づける「彷徨う和声」もやはり、ある程度はショパンの即興的なセンスから導きだされたものであろう。

譜例1 第9小節~第10小節

譜例2 第11~12小節

(林川 崇)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1544文字)

更新日:2018年3月12日
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