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シューマン : ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム) 従者ループレヒト(サンタクロース) Op.68-12 イ短調

Schumann, Robert : Album für die Jugend "Knecht Ruprecht" a-moll Op.68-12

作品概要

楽曲ID:21621
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用2 応用3 応用4

楽譜情報:19件
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解説 (2)

解説 : 鄭 理耀 (199 文字)

更新日:2019年10月6日
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イ短調、4分の2拍子。複合三部形式で、中間部はヘ長調へ転調する。ループレヒトは、聖ニコラウスの日にあたる12月6日、プレゼントと鞭を携えて子供たちのもとへやってくるサンタクロースである。良い子にはご褒美としてプレゼントを、悪い子には鞭でお仕置きをする。主部と中間部では、このような対照的な場面が表されているようだ。扉絵には、サンタクロースの袋から丸い果物が次々とこぼれ落ちている様子が描かれている。

執筆者: 鄭 理耀

演奏のヒント : 大井 和郎 (1610 文字)

更新日:2023年5月15日
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この曲の演奏のヒントとしては、「重たさを感じさせない」事が重要になります。それでは重たさを感じさせない演奏はどうしたらよいのか説明します。

1 方向性を持たせること

各フレーズがどこに向かって行くのか確認しましょう。どこかへ向かって行く事を前提にした演奏であれば、そのフレーズ全部が同じ音量にならないはずです。そうすることで平坦な演奏を避ける事が出来ます。平坦な演奏は機械的で重たく聞こえます。

2 アーティキュレーションをハッキリさせる

スタッカート、レガートなど、短い音符、長い音符の差をハッキリと出すことで重たさを避ける事が出来ます。スタッカートでもない、レガートでもないような中途半端な長さの音符を弾いてしまうと、歯切れが悪く、重たい演奏となります。

3 細かい音符に対して力を入れない

Aセクションでもそうなのですが、特に、16分音符が連続してくる中間部は、メロディー音を見つけたらそれだけを意識し、全ての16分音符をleggiero(軽く)で、pp で、弾いて下さい。これら16分音符をマルカートにすることで重たい演奏となります。

さて1番の「方向性」に関してですが、冒頭のフレーズを見てみましょう。1~4小節間が1つのフレーズとなります。筆者の楽譜には1小節目にフォルテマーキング、4小節目にもフォルテマーキングが3つ書かれています。同じフォルテでもどちらが大きいのか考えてみましょう。2~3小節間は、2小節目の音形がそのまま3小節目でオクターブ上に上がっています。テンションが高くなっていることを意味します。故に、1小節目、そこまで大きくしないで、2~3小節間で音量を上げていき、ゴールである4小節に達するようにし、4小節目を最も大きいフォルテで弾きます。5~8小節間も同じです。ただし、1~4小節間が不完全終止で終わっているのに対し、5~8小節間は完全終止で終わっていますので、もしかしたら5~8小節間のほうが若干弱いかもしれません。

これら4小節目と8小節目のアーティキュレーションに関してですが、1拍目の2つの和音はくれぐれも長く伸ばしたりせず、強く、短い、スタッカートで演奏して下さい。この2つの小節を演奏するとき、1拍目の和音2つの歯切れが悪いと全てが台無しになります。

9~12小節間を見ますと、先ほどまでフレーズの最後の小節に書かれていたフォルテは消えていて、フォルテはこのフレーズの1小節目である、9小節目にしか書かれていません。これら、9~12小節間と13~16小節間は、もしかしたら最初の小節が最も音量が大きく、あとは衰退していくと考えても良いです。中間の小節である、10~11小節間は、さっきとは逆に、オクターブ分、下行していますね。

9~12小節間に対して、13~16小節間は音が2度上行していますので、9~12小節間より

も、13~16小節間のほうを少しだけ大きく弾いてみて下さい。

17小節目で再び、1小節目のフレーズが戻ってきますが、20小節目は大きく期待を裏切り、終止形を迎えず、先に進んでしまいます。テンションは最高に上がって、そして24小節目でAセクションの終止を迎えます。ここはかなり大げさに、少しテンポを引っ張って終わって下さい。

24小節目がAセクションで最も大きい音量を必要とする小節とお考え下さい。

25小節目以降、メロディーはおそらく、A G A B C G です。これだけ意識して、あとは、ppでleggieroで弾いて下さい。このメロディーラインは、37小節目のDes-durに転調した際の一番上の声部と一致しますね(F Es F Ges As Es)。33小節目以降、左手に歌の部分が出てきますので、これをたっぷり歌います。

このBセクションですが、1~24小節間、49~72小節間のAセクションとコントラストをハッキリと付けます。49~72小節間は1~24小節間と全く同じです。

執筆者: 大井 和郎

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