シューベルト :2つのスケルツォ 第1番 D 593 変ロ長調

Schubert, Franz:2 Scherzi  No.1 B-Dur

作品概要

楽曲ID:21483
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:スケルツォ
総演奏時間:4分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (868文字)

更新日:2018年3月12日
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この曲は、歌曲ではなく、むしろ器楽を背景にした曲であると思います。弦楽四重奏に近い書き方もされていますね。ゆえに、ルバートなどをかけず、淡々と進んでいいと思います。この曲は軽いスタッカートが命といっても過言ではありません。上品でデリケートなスタッカートにして、決して重たくならないように注意します。

技術的に困難な場所も多くあります。11小節目、右手のスタッカートはメロディーラインと連打のBがあります。このようなところは重たくなりがちですので注意します。Trioのセクションで度々出てくるターンにも注意です。ターンをタイミングよく、全ての音が弾けるテンポに留めておいてください。あまり最初に速いテンポで始めてしまうと、このtrioのセクションで、ターンが入りきらなくなったり、時間を余計に食ったりしてし まいます。

その他、注意すること。48小節目フォルテシモが書いてありますが、これは前述したように、弦楽アンサンブルに要素が近いものですので、あまり大きくしすぎないようにします。ベートーヴェンのようなフォルテにならないように。

Trioのセクションはまさに弦楽四重奏の世界です。音価をよく見て、ポリフォニーの秩序を守るべく、横に流れるように弾きます。このセクションは決して縦割りに聴こえないように注意します。

58小節目と66小節目は全く同じ音で、オクターブ違うだけに過ぎないのですが、ここの左手にはスタッカートが書いてあります(少なくとも筆者の楽譜には書いてあります)。ところが、右手にはレガートがかかっていますので、メロディーラインである右手の一番上のラインはレガートで弾きます。問題は、右手の内声です。これをレガートに弾くには、どうしてもペダルが必要になります。しかしペダルを加えてしまうと、左手のスタッカートが上手にできなかったり、またはターンが濁ったりと多くの問題が起きます。

個人的な意見ですが、この内声のBCAsも、左手のスタッカートと同じように短く切ってしまって良いと思います。メロディーラインだけがレガートで良いと思います。

執筆者: 大井 和郎