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小坂 直敏 :《ハイブリッド・コラージュ ― ピアノと電子音響のための》

Osaka, Naotoshi:"Hybridization Collage" for piano and electroacoustics

作品概要

作曲年:2015年 
楽器編成:その他 
ジャンル:★ 種々の作品 ★

解説 (1)

解説 : 小坂 直敏 (820文字)

更新日:2019年5月14日
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この作品は、既存楽器とコンピュータ音(電子音響)を混合させる、コンピュータ音楽の一形態で、ピアノ音は拡声するが、特に加工はしていない。電子音響では、作者が取り組んでいる「構造的音色」の一環としてのサウンド・ハイブリッド音を組み込んでいる。構造的音色とは、一つの音から別の音まで徐々に移り行く「サウンド・モーフィング」、ひとつの音の中に別の音が入れ子になっている「音の音」、二つ以上の音の特徴を持ち寄って、これらを掛け合わせてひとつの音を造る「サウンド・ハイブリッド」の三本立てからなる合成音技術の総称である。これらの合成音は現実にはない音であるため、既聴感のない新たな音色として、また、ひいては新たな楽音としての期待につながる。

 また、このような音は、一つの音と聞こえるか複数の音と聞こえるかの中間の合成音で、ぎりぎり一つの音といえる範囲を狙っている。

 本作品の中では、いくつかのサウンド・ハイブリッドを行っている。本年6月に収録した鳥(ヒタキ類)の鳴き声と正弦波の掛け合わせ音の他、水音、金属打撃音などを電子音と掛け合わせた。最も主要なハイブリッド音は、昨年のオーケストラ作品「音の音」の弦楽器のテーマを引用した。これは、作者がいろは歌を朗読し、そのピッチを機械分析し、これを旋律として和声付けしたものであるが、この弦の音にさらに、朗読した「いろは歌」の音韻をも付与して、弦楽器に喋らせる、ということを技術課題とした。弦楽器に喋らせると、弦楽器でなくなってしまうのか(弦楽器の特徴が損なわれるのか)、しわがれ声のようなつまらない音になってしまうのか、声と弦楽器が二つとも聞こえるだけなのか、という問いに、否、魅力的な一つの楽音である、と答えたいのが合成音の製作意図、ひいては作品の創作意図である。

 いろは歌の音韻は以下に読み上げた。「いろわにおえどちりぬるを、わがよたれぞつねならむ。ういのおくやまきょうこえて、あさきゆめみじえいもせず」

執筆者: 小坂 直敏

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