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スクリャービン :交響曲第5番「プロメテウス-火の詩」 Op.60

Scriabin, Alexander:Symphony no.5 "Promethée, Le Poème du Feu" Op.60

作品概要

楽曲ID:20279
初出版社:Édition russe de musique
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:23分20秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 山本 奈央 (713文字)

更新日:2023年7月10日
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スクリャービンが1910年に作曲した最後の交響曲である。単一楽章形式の作品で書かれている。「プロメテウス」とは、古代ギリシャ神話に登場する神の一人で、天界から火を盗んで人間に火(=知恵)をもたらした存在である。スクリャービン自身、この作品を「ホール全体が光に包まれ、その時炎は燃え上がる」「光の交響曲、炎の詩」と説明した。作品の中で使用されるピアノは、当時特殊なピアノを用いて演奏されることを想定されていた。楽譜上では、Cは赤、Gはオレンジ、Dは黄、Aは緑、Eは空色、Hは明るい青、Fis(Ges)は青、Desは紫、Asはライラック、Esは青みがかったメタリック、Bはシルバーのメタリック、Fは深い赤色と色が指定され、色のついた光が点滅する。これを実現させるためにピアノを開発予定であったが、こちらはうまく機能せず、使用を断念した。本作で考案された「プロメテウス和音」は「神秘和音」と呼ばれ、後の作品《ピアノ・ソナタ第6番》作品62以降の5曲のピアノ・ソナタや小品等にも度々使用された。

プロメテウスではピアノが他のオーケストラパートを先導する重要な楽器である。装飾音符からの上行する音形、トリル、飛翔のリズム(主に単音-重音による8分音符のアルペジオによるリズムがオクターブで鍵盤から離れて跳ねることを《ピアノ・ソナタ第4番》作品30や法悦の詩のテキストにも飛翔という言葉でスクリャービン自身が書いており(筆者の訳による)、この言葉をリズムに当てはめたものを筆者は「飛翔」と説明する)は、スクリャービンの中期のソナタから後期にかけて現れる要素の一つで、これらはプロメテウスを中心に展開された音のモティーフであると筆者は考える。

執筆者: 山本 奈央
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