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スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ ニ短調 K.1 L.366

Scarlatti, Domenico : Sonata d-moll K.1 L.366

作品概要

楽曲ID: 1636
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:2分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展5

楽譜情報:9件

解説 (2)

執筆者 : 丸山 瑶子 (827 文字)

更新日:2011年9月2日
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ソナタ K1. - K.30について

スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。

序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。

全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。

なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。

K.1について [Allegro] ニ短調

右手は主に音階下行、3度の分散和音とトリル、左手は右手の上行旋律線の補助と広い跳躍と和音の反復による伴奏音型の練習になっている。伴奏音型の跳躍は、前半部はオクターヴに収まり、後半部で2オクターヴへ拡大する。

執筆者: 丸山 瑶子

演奏のヒント : 大井 和郎 (799 文字)

更新日:2025年12月14日
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スカルラッティのソナタは基本的に2部形式なので、分析をする際には、前半・後半と呼ばせていただきます。前半のピークポイントを探していきましょう。前半の最高音は2小節目の右手Aと、89小節間の右手Aになります。しかし、上行形のシークエンスである7小節目を経て到達した89小節間のAの方が、よりテンションは高いと感じますので、ここをターゲットとします。

36小節目までは順次進行の、下行形シークエンスですので、少しずつ音量を落として行きます。そして、音量が最も落ちた7小節目1拍目より、上行してクレシェンドをかけ89小節間に達します。

89小節間に達したあとは全ての音は徐々に下行して、13小節目までたどり着きます。13小節目はd-mollのドミナントですので、下行していたとしても、クレシェンドをかけて最後の音に達する事も可能です。その辺りの強弱のコントロールは奏者に委ねられます。

一方で後半は、平行調である柔らかなF-durも入って来ますので、カラーも音量も変わってきますが、今度は18小節目3拍目より4拍ずつの上行形のシークエンスが始まり、22小節目の4拍目右手Aに達し、ここがピークポイントとなる可能性があります。この部分は、前半2小節目34拍間と同じなのですが、左手のバスの音はかなり低い位置に跳躍し、2拍ずつ刻みますので、同じフレーズでも前半よりもテンションが高くなります。

このソナタを弾くにあたって重要な事は「方向性」です。この、どこかに向かって行く「方向性」が無いと、演奏は平坦で面白みがなくなります。勿論和音の声質や調整も鑑みた上で、強弱を決定するのですが、常に「方向性」は忘れないようにしてください。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(1件)

ソナタK.1 L.366