
解説:齊藤 紀子 (741文字)
更新日:2008年12月1日
解説:齊藤 紀子 (741文字)
インドのパールシー教徒の父親とスペイン系シチリア人の母親の間に生まれた。生涯の大半をイギリスで過ごしている。ソラブジは、対位法と和声の基礎的な音楽教育を受けた程度で、ほぼ独学であった。ソラブジは、自身の作品を広めようとすることには無頓着といってよいほど関心がなく、演奏を禁止さえしていた。出版されずに手稿譜のままに留まる作品もあり、著名な音楽家の称賛を受けながらも、広く世に出るということは稀であった。長年、私的な録音を通してしかソラブジの作品は知ることができなかったが、晩年、マイケル・ハーバーマンとヨンティー・ソロモンにのみ作品の演奏を許可した。また、イリノイ大学が演奏の困難なソラブジの作品をコンピュータで演奏・録音するプロジェクトに取り組んだ。
作品は、西洋と東洋の双方から影響を受けた。印象主義の影響を受けたところから出発し、独自の様式を編み出して、1プログラム1作品となるような規模の大きい作品も手がけた。その例として、演奏時間が3時間近くに及ぶクラヴィチェンバロのための作品や1000ページにわたる交響曲《ジャミ(Jami)》が挙げられる。また、少ない時でも3段、多い時には7段もの譜表を用いるピアノ作品もある。
ソラブジは、ピアニストとして優れた腕前をもち、ロンドンやパリ、ウィーン、グラスゴー、ボンベイで演奏会を開いていた。しかし、ソラブジ自身が公開演奏に抵抗を感じるようになり、次第にコンサートの場からは身を退いていく。
また、『Musical Times』や『New Age』、『New English Weekly』に、機知に富み辛辣でさえある筆致で音楽評論を寄稿した。シマノフスキやアルカン、マーラー等、当時はまだ知名度の低かった作曲家の紹介に努めた功績がある。
作品(76)
ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) (2)
協奏曲 (8)
管弦楽付き作品 (3)
ピアノ独奏曲 (13)
ソナタ (6)
トッカータ (5)
幻想曲 (4)
リダクション/アレンジメント (3)
種々の作品 (33)