三部形式である。
A[a(1から8小節)+a1(9から16小節)]
B[b(17から24小節)+c(25から28小節)]
A1[a2(29から34小節)+コーダ(35から39小節)]
調性はイ長調で、転調はない。所々借用和音は認められるものの、全体的には固有和音が中心でシンプルな構成となっている。主題において見られる主音による保続音は内声に発生している。通常、保続音は外声、バスか上声で見られるものである。こうした保続音が意味することを標題と掛け合わせて想像してみる。例えば、時間の経過によって少しずつ老化が始まってくる猫だけれども、変わらない仕草や特徴(保続音)であるとか、飼い主の猫に対する変わらない気持ちであるとか。音楽上では些細な出来事だけれども、こうしたことが表現へのきっかけにすることで、演奏者にとって単なる保続音も大切な何かに変わるものだと考える。
和声は楽曲全体を通して下行進行していくことが一つの特徴となっている。これは個々の和声解決はあるものの、それよりも横への繋がり、ラインへの意識を促している。とはいえ、いくつかエモーショナルな和音もあって、例えば23から24小節における半音階進行で下行したハ長調の属9(−Ⅲ調のⅤ9)であったり、26小節の準固有和音のドッペルドミナントなど、その明るさや色彩の変化をよく味わって表現したい。