マルグリット・ロンが晩年に発表した「ピアノ小教本」（La Petite Méthode de piano）にリヴィエが書き下ろした曲。この曲集の中でジョリヴェ、デュティユー、レイモン・ルシュール、リヴィエ、オーリック、フランセの各作品は学習者向きの範囲を超えた難曲（チェルニー40番程度以上）だが、あえて本格的な現代曲に触れさせることで生徒の成長を促したいとするロンの意向で収載されたという。リヴィエは20世紀フランスの非前衛の作曲家。特にアカデミックな評価が高い。4分の2拍子、主調はト調、レント（ドルチェ・アフェットゥオーソ）。一小節の中で短調と長調とが交錯し、複調も頻出するうえ、子守歌である以上は不協和音の角を取って美しく響かせる必要もある。加えて、曲線的な起伏とニュアンスの表出、レガート奏。種々の技術を動員して挑戦したい。