グリエール, レインゴリト :12のスケッチ 第6番 Op.47

Glière, Reinhold:12 Esquisses Andantino

作品概要

楽曲ID:87907
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:2分20秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (693文字)

更新日:2024年4月21日
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この12のスケッチの例えば1番を見たとき、弦楽4重奏の書法であることは容易に想像ができます。この曲集そのものが、器楽のイメージであり、この6番もそのような意味の、アンサンブル的な曲とお考え下さい。例えば、2人の声楽でも構いませんし、2本のヴァイオリンとビオラ等でも構いません。

完全なカノンではありませんが、カノンのようにきこえます。この曲は3つに分かれます。ABAとします。

A 1~16小節間

B 16~25小節間

A 25~36小節間

最初のAは、更に2つに分けられ、1~8小節間、9~16小節間です。この2つの最後の小節、8小節目と16小節目に注目します。1小節目から始まるメロディーは、どんどん下行し、4小節目で既にオクターブ下に下行し、8小節目でその下のFisまで来ます。メロディーラインは8小節目2拍目、Fisで終わりますが、対旋律は、9小節目、Cisで終わります。

対して16小節目、旋律は同じくFIsで終わり、対旋律は、17小節目Dで終わるとします。ここからD-durに転調になります。20小節目でピークを迎え、25小節目で再びAに戻ります。

戻ってきたAは、最初のAと全く同じ動きをしますが、注目したいのは33小節目で、主旋律がAで終わります。9小節目の1拍目の和音はACisEでA-durのトニックですが、最後の音がCisであるために不完全終止になります。

対して、33小節目は、初めて、主旋律がAで終わり、完全終止となります。この33小節目で、初めて穏やかで安心する気持ちになれます。それまでは多少の不安が伴います。この辺りの和声的なカデンツの微妙な違いも表現してみてください。

執筆者: 大井 和郎

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