近藤 浩平 :ピアノソナタ 第2番 Op.220
Kondo, Kohei:Piano Sonata No.2 Op.220
解説 : 杉浦 菜々子 (211文字)
藤本辰也・杉浦菜々子による共同委嘱で、2023年12月3日杉浦菜々子により初演された。
4つの楽章からなるピアノソナタ。近藤浩平のピアノソナタとしては二作目。
前作の「左手の為のソナタ『高層湿原への旅』(ピアノソナタ第1番)~舘野泉のために~ 作品134」は、舘野泉と左手の文庫の委嘱により2013年に作曲され、2014年9月28日に長野県小海で舘野泉のピアノで初演された。両手のピアノのためのピアノソナタとしては第2番が初。
解説 : 近藤 浩平 (730文字)
【作品解説】
このソナタの第3楽章は、「徳山村への哀歌、沈める村」、第4楽章は「徳山村への哀歌、源流の村」との副題が付けられている。
徳山ダムは、岐阜県木曽川水系揖斐川上流に2008年に完成した巨大なダムである。貯水量は浜名湖の水より多いという。このダムの建設の為、徳山村は全ての人が離村し地図から消えた。
有名な観光地、景勝地以外の多くの日本の山村の自然と生活は、この数十年の間に都会人の目につかないところで、次々と消えてしまっている。
私がこの村の最奥の冠山を登山した帰路に訪れた時には、すでに離村が済み、湖底に沈む部分の樹木は無惨に伐採され、水をためる前の荒涼とした風景だった。
この村の最後をとらえた増山たづ子さんの素晴らしい写真集がある。
徳山ダムが完成した2008年にオーケストラ曲「徳山村への哀歌、沈める村」と「徳山村への哀歌、源流の村」を作曲した。様々な作曲コンクールなどに応募したりオーケストラ関係者にコンタクトしたりもしたが初演される機会がないまま現在に至っている。この作品は、徳山村という一つの村が沈んだということがきっかけで作曲したものではあるが、過疎などで急速に失われつつある日本各地の山村の暮らしそのものについての愛惜の音楽でもある。
かって、学生の頃に訪れた山村で多くの人が暮していたところが、近年、再訪すると過疎や高齢化で廃屋と荒れ野となった耕作放棄地で荒涼とし、村の祭りなども維持できなくなり、生活の文化も急速に失われつつある。日本の山村の音楽の感触のある旋律と、それをあるときは脅かすように、ある時は穏やかに包むように、ある時は痛切な愛惜と怒りと不安を表出するように、あるときは、はるかな時間の不思議さを喚起するように響く音響が交錯する。
第1楽章
動画1
解説0
楽譜0
編曲0
第2楽章
第3楽章 「徳山村への哀歌、沈める村」
第4楽章 「徳山村への哀歌、源流の村」
ピアノソナタ 第2番 第1楽章
ピアノソナタ 第2番 第3楽章 「徳山村への哀歌、沈める村」
ピアノソナタ 第2番 第2楽章
ピアノソナタ 第2番 第4楽章 「徳山村への哀歌、源流の村」
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